神は世界情勢を支配して一人の新しい人を完成する

真理

神はご自身のかたちに人を創造されました。その目的は人が神を表現し、神のために全地を治めることです(創一・二六)。しかし最初(第一)の人アダムは失敗しました。ですから、神は自ら来てひとりの人、イエス・キリストと成られました。彼の死と復活を通して、彼を信じるすべての人を再生し、召会を産み出し、一人の新しい団体の人と成って神の目標を完成します。わたしたちが神の定められた御旨の光の中から世界歴史を見るなら、世界情勢はみな神の主権の御手の中にあり、一人の新しい人を完成して神の御旨を完成します。

神の定められた御旨
聖書全体は、二人の人、すなわち古い人と新しい人の記録です。旧約は古い人の記録であり、新約は新しい人の記録です。神の意図は、神の永遠の定められた御旨を成就するための人を持つことです。このゆえに、神は人をご自身のかたちに創造され、人に神を表現させ、神のために治めさせます(創一・二六)。

宇宙において、神は御使いたちも造られましたが、御使いたちは神を表現することができません。なぜなら御使いたちは神のかたちに造られなかったからです。人だけが神のかたちに造られたのです。ですから神は人が必要です。それでは神のかたちとは何でしょうか? コロサイ人への手紙第一章十五節コリント人への第二の手紙第四章四節は、キリストが神のかたちであるとわたしたちに告げています。ですから、神が人を神ご自身のかたちに創造されたとき、人をキリストにしたがって造られたのです。さらに、創世記第一章二六節によれば、神のかたちのあるところに、神の支配が続きます。神が表現されるところはどこでも、神の支配と治めることがあります。神の権威、神の王国、神の統治はいつも神のかたちに続きます。もしわたしたちが神のかたちを持ち、神が表現されるなら、わたしたちは確かに神の王国、神の統治も持ちます。

堕落した人類の分裂と、離散の歴史
神が創造した人は、当然全人類を指しています。神は個人の人を創造したのではなく、一人の団体の人を創造しました。神は一人の人であるアダムにおいて団体の人を創造したのです。ですから、神の意図によれば、全人類は「一人の人」と考えられるべきです。神は、彼を表現し、彼のために治める彼の器となる一人の団体の人を得たいのです。

しかしながら、人は悪魔サタンの誘惑を受け、罪を犯し神から遠く離れてしまい、その心の思いはかることが常に悪いことばかりであるほどに堕落しました。神は地上に人を造られたことを後悔し、洪水をもって世の人と創造したすべての生き物を裁くことを決められました(創六・五―七)。しかし洪水の後、ノアの子孫は彼らの言語、家族、土地と国にしたがって、分かれて地上に散らされました(十・五、二〇、三一―三二)。人類がバベルで神に反逆した後、神の裁きがあり、人の言語は混乱し、人は散らされました(十一・九)。ここから、人を堕落させたサタンの意図が何であったのかをはっきりと見ることができます。それは人類を分裂させ、散らすことによって、神の定められた御旨において人を役に立たなくさせることでした。ですから堕落した人類歴史は分裂と離散の歴史です。地上の諸国民は独立し、互いに対立しました。

新しい人の創造
古い人は神が人を創造した定められた御旨を達成しませんでした。ですから新約時代になると、三一の神が自ら一人の人、イエスと成って来られました。使徒行伝で、この神・人イエスは肉体と成られ、人の生活、十字架、復活、昇天を経過して、天の御座に着いて、主の主となられたことを見ます。そして聖霊と成って天から下って来て、彼を信じるすべての人の上に注がました。第二章九節から十一節には、さまざまな方言、国籍の人がエルサレムに集まっていました。彼らはみなユダヤ人でしたが、多くのさまざまな方言を話し、互いに分裂し散らされていました。しかしながら、彼らがペンテコステの日に共に集まっている時、聖霊が彼らの上に注がれ、聖霊の中で彼らは一となりました。そして召会、すなわちキリストのからだ、また一人の新しい人が生み出されました(エペソ一・二三二・十五)。このことは、古い人の中で分裂させられ、散らされていたものが、この新しい人の中で回復されたことを示しています。

パウロはエペソ人への手紙第二章十四節から十五節で次のように言っています。キリストは十字架上で「敵意である隔ての中垣を取り壊し、数々の規定から成っている戒めの律法を、彼の肉体の中で廃棄されたからです。それは、彼がご自身の中で、二つのものを一人の新しい人へと創造して、平和をつくるためであり」。隔ての中垣は、分裂、さまざまな民族の間にある分裂する要因です。この要因は十字架上のキリストによって取り壊されました。この事によって、キリストは、ユダヤ人と異邦人という二つの民から一人の新しい人を創造しました。コロサイ人への手紙で、パウロは、ユダヤ人とギリシャ人には、何の立場もなく、キリストがすべてであると告げています(三・十一)。パウロは新しい人のビジョンを見て、エペソ人に対して、またコロサイ人に対して二つの書簡を書きました。当時、彼の天は地中海とメソポタミアの地に広がっていただけで、地球の一部がまだ発見されていないことを認識することができませんでした。しかし今日のわたしたちの天は、すべての大陸、地球全体に広がっています。

歴史の四つの主要な出来事
使徒行伝第十七章二六節は言います、神は「一人からあらゆる国民を造り、地の全面に住まわせ、予定された時季と居住の境界を定められました」。これは世界情勢がすべて神の按配の下にあることを告げています。神はある民族に時季を定め、ある事をさせたり、その場所に居させたりします。それは神が各国の境界線を引かれるということであり、また神が王を起こし、また国を滅ぼされるということです。これは聖書から明らかであるだけでなく、歴史の事実からも明らかです。人類歴史の期間はおよそ、六千年間、すなわち、キリスト以前の四千年間とキリストの後の二千年間です。この二千年の間に四つの大きな出来事がありました。神の定められた御旨をこの地上で達成するために、これらのことは神の主権の下にあります。

ローマ帝国の設立、福音の拡大のための道を整える
この二千年間の歴史の第一の主要な出来事は、ローマ帝国の設立でした。ローマ帝国は、キリストが生まれる三十年少し前の、紀元前三十一年ごろに、カイザル・アウグストによって設立されました。このローマ帝国が創設されたのは、福音が天下のすべての人々に拡大する道を準備するためでした。ローマ帝国設立前、地中海周辺の人々は完全に分裂していました。ですからローマ帝国の設立は四つの事を達成しました。(一)地中海周辺のヨーロッパ、アジア、アフリカの国々を一つの帝国へと統一し、(二)ギリシャ語を国際語にし、(三)ヨーロッパと小アジア一帯に幹線道路を建設して、交通をスムーズにし、(四)地中海周辺の民族をまとめて、非常に平和的な秩序を維持しました。ですから、使徒たちがどこに行こうと、言語と交通の問題は何もありませんでした。その五十年以内に、福音が地中海周辺の民、民族、国々に宣べ伝えられました。

宗教改革と新大陸の発見、人の知性を解放する
しかしながら、召会が生み出された後、それは衰退し堕落し始めました。最終的に、召会はいわゆる暗黒時代に入り、その時代は十世紀の間続きました。この期間にローマ・カトリックは普及し、聖書は閉ざされました。十五世紀の終わりに、コロンブスが新しい大陸を発見しました。十六世紀の初めに、マルチン・ルターが主によって起こされ、信仰による義認に関する真理を回復しました。新大陸発見と宗教改革は、カトリックの下に閉じ込められてきた人の知性を解放しました。

その時から、科学は強大になり、物質的文化が普及しました。蒸気船、自動車、飛行機が次々と発明されました。これらの事柄は人類の思想に大きな変化をもたらしました。科学と工業が発展し、資本主義と社会主義が現れました。最終的に、商品の過剰生産は帝国主義を生み出しました。帝国主義は間違ったものですが、神によって主権をもって用いられ、分裂し閉ざされた人々の戸を開きました。表面上、神の敵サタンはこの期間に多くの事を行ないました。しかしながら、わたしたちは主イエスがサタンよりも上におられることを認識しなければなりません。サタンは主イエスが神の定められた御旨を遂行するために用いる「子ろば」にすぎません。

イギリスがスペインを撃ち破り、福音を宣べ伝える
歴史の第三の大きな項目は、スペインがイギリスによって撃ち破られたことです。コロンブスの新大陸発見後、スペインは最強の海軍を所有して、世界の主導的な強国となりました。こういうわけで、南アメリカはスペインの植民地となりました。スペインは完全にカトリックを支持していたので、これらの地方はカトリックの管轄の下にありました。このため、神はイギリスを起こされました。一五八八年に、海上での短期戦だけで、イギリスはスペインを撃ち破りました。その時から、イギリスが全世界に対する主要な勢力となり、世界の主導的な強国となりました。それは「太陽の沈まない国」と呼ばれました。神はイギリスのプロテスタントの宣教師たちを通して福音を拡大し、カトリックの拡張を止めました。この歴史の第三の主要な項目を通して、プロテスタントの福音はすべての大陸の隅々まで、特にアジア、アフリカ、オセアニアにもたらされました。これは神が主権をもって行なわれたことであり、世界の各地に福音をもたらすためでした。

新しい人のためにアメリカ合衆国が起こされる
二十世紀の初めまでに、福音は地の隅々にまで拡大されました。しかしながら、神の定められた御旨は、地球の隅々までの福音の宣べ伝えだけでなく、一人の新しい人を得ることです。新しい人は、あらゆる人々、あらゆる種族、あらゆる国民で構成されている古い人に置き換わるものです。しかし当時、情報伝達手段と交通は不便でしたし、人々の間の相互理解はとても悪かったのです。

人類の各種の衝突によって、第一次世界大戦と第二次世界大戦が起こりました。戦争という目的のために、特に輸送の分野で多くの新しい発明がありました。第一次世界大戦はアメリカ合衆国が介入して解決しました。この時、イギリスとフランスは世界のさまざまな民の間の関係を監督するために国際的な組織を形成するために先導しました。しかしながら、国際連盟は正常でなかったので、一九三一年の日本の中国侵略、一九三五年のイタリアのエチオピア侵略、一九三九年のドイツのボヘミア侵略の後に無くなりました。これらの三つの侵略は国際連盟を葬り、第二次世界大戦をもたらしました。最終的に、神は再びアメリカ合衆国を用いて、その状況の解決を助けました。この時、神はアメリカ合衆国を用い、完全な地位を得させて、国際連合を形成させました。これら二つの戦争を通して、神はアメリカ合衆国を起こし、世界の主導国とされました。

あらゆる国は、自分たちの人種で形成されています。日本は日本人で形成され、中国は中国人で形成されています。しかし、アメリカ合衆国は一つの人種の国でなく、さまざまな人々が一緒に「溶け合った」国です。白人、黒人、ヨーロッパ人、アジア人、他の人種が一緒に溶け合っています。この国はいつも科学、医学、数学、多くの文化的な事柄で国際交流を行なう政策も持っていました。この文化交流は、さまざまな国とさまざまな人々を一つの理解へともたらすために多くの事を行ないました。またすべての歴史の中で、アメリカ合衆国のように、経済、軍事の面で他の国を助けた国は決してありませんでした。アメリカドルは世界の通貨となり、全世界はアメリカドルを用いています。この歴史上の四つの主要な出来事は、アメリカ合衆国のためではなく、一人の新しい人を得るための、神の主権です。

一人の新しい人を完成するための神の主権
近代の研究と発明のゆえに、交通と情報伝達手段が大いに進歩しました。今日、わたしたちにはジェット機、ラジオ、テレビ、通信衛星、国際電話もあります。これらの近代の発明は地球全体の人、社会、国の距離を縮めました。世界情勢は新しい人という一つ目標のために起こされてきました。今や一人の新しい人の中でさまざまな人々がみな、共にミングリングされています。

神の定められた御旨は、神を表現し、神の統治権を行使するための人を持つことです。古い人は神の定められた御旨に到達しませんでしたが、神は古い人を置き換えるために新しい人を起こされました。今こそ、神が新しい人を完成するというご自身の定められた御旨を達成される時です。この完成された新しい人は彼の花嫁であり、神の栄光を表現し、彼と共に戦って、神の敵に勝利します。この一人の新しい人のビジョンは、わたしたちを一の中に保つだけでなく、わたしたちをキリスト以外のすべてのものから解放し、救います。ある人たちは各地方召会が自分自身の管轄と自治を持たなければならないと狭い方法で言いましたが、わたしたちはさまざまな国のすべての地方召会が一人の新しい人であることを見る必要があります。わたしたちは個人的な信者であることができず、またわたしたちの地方召会を他のすべての地方召会と分離しておくことはできません。今日はすべての地方召会をもって構成された新しい人の時です。この新しい人はキリストの中で一であるすべての信者たちを含みます。

歴史と聖書によれば、歴史文化はいつも神の意図と共に進みます。堕落した人の文化は神のものでなくても、神はこれらすべてのものに対して主権を持っています。神は人の文化を海から大洋に、また大洋の上の空にもたらされました。その目的は、新しい人を完成するという神の定められた御旨のためです。この地上にあるあらゆるものは、新しい人の完成のためです。世界の政治、科学の発明、交通と情報伝達手段などの各面の発展によって、世界は小さな球体へと凝縮されました。今日、新しい人が出現するためにあらゆるものは熟し、用意され、準備ができています。わたしたちはみな自分が終わりの時代にいることを見なければなりません。最も尊い時、わたしたちの視界は広げられなければなりません。宇宙的な目で、全地にはただ一人の新しい人があることを見ます。この新しい人は新しい組織や、新しい「連合国」ではありません。この新しい人はキリスト、すなわち拡大し拡張したキリストです。この新しい人の中では人、事、物は何も立場がなく、キリストがすべてであり、すべての中におられるのです(コロサイ三・十一)。わたしたちがみなキリストを愛し、彼を生かし出すとき、一人の新しい人が地上で完全に得られるのを見るでしょう。

記事は日本福音書房発行「ミニストリーダイジェスト」第4期第3巻より引用

タイトルとURLをコピーしました